その昔、公募ガイドという雑誌があって。
いや、今も季刊発行ではあるもののあるみたいですが。
その頃は月刊誌でしたので、毎月公募ガイドを読むのが楽しみでした。
今は、web版をごくたまに覗く程度ですが。
当時、詩や短歌を書くのにはまっていろいろなコンテストに応募していたんです。
その中で何度か応募したことがあるのが、新風舎のコンテストで。
まだ書き始めたばっかりのペーペーなので、ダメもとですよね。
大賞をとると新風舎がお金を出して本を出版してくれる。
それより惹かれたのが賞金が用意されていたこと。
お小遣いほしさに応募していたようなものなんです。
コンテストに応募すると、決まって第一次審査と第二次審査を通過しましたとお知らせが来るんです。
結果は大きな賞には選ばれてないんですけど、ちょっとした賞状とか評価とかを書いて送ってくれて。
それが凄い嬉しかったんですね。
わ〜、ちゃんと読んでもらえたんだ〜って。
それだけで満足だったんですが。
あるとき、電話が来るんですよね。
新風舎から。
話を聞くと共同出版してみませんか?
という話で。
新風舎と私でお金を出し合って本を出版するという話。
いくらで出版できるのだろうか?と気になって聞いたら、何十万か100超えてたかな?
20年くらい前のことなのでうろ覚えだったり。
見積もりとったわけじゃないので、正確な金額はわからないのですが。
え〜、賞金ほしさで応募しただけだしなぁと思ってお断りしたんですが。
タダで出版してくれるならいいけどね。
だって大賞とかとれてないのに出版しても、怖くないですか?
売れるわけないでしょうって思います。
お金持ちが記念に出版するという話ならいいかもしれないけど。
それで話は終わり。
コンテストは定期的に開催されていたので、今度は小説を書くのに挑戦してみたんです。
こんなの読まれるの恥ずかしいわっていうほどのポンコツぶりでしたが、せっかく書いたことだし応募しました。
今思うと迷惑だったでしょうね。
結果は同じで第二次審査までは難なく通る。
そして大賞などはとれない。
当たり前なんですが。
結局、短歌なども応募したから3回くらいは応募したのかも。
そして案の定、また新風舎から電話があり。
また共同出版しませんか?のお誘いの電話でした。
あんなど素人の作品、出版しても赤字でしょって思うんですが。
またまたお断りして。
それで終わるかなぁと思ったら、電話の向こう側から
「じゃあ何のために書いてるんですか?」
とちょっと責められるような口調で言われたんですよね。
はあ、賞金ほしさですけど。
それしかないんだけど、そんなふうに言われて絶句してしまって何て返したかちょっと記憶にありません。
そうか、出版しないと応募しちゃだめなんだ、書いちゃだめなんだ…
とそれはとてもがっかりして、もう応募するのはやめました。
時を同じくして他の出版社にこれまた賞金狙いで応募したりしてみたんですけど、こちらも落選なのに数万払えば冊子に載せてあげるよ的な流れだったので。
何だかなぁと思い、それっきりコンテストに応募するのも詩を書いたりするのもやめました。
すっかりそんな出来事も忘れていたんですが、あの出版社どうしてるだろうと気になって調べてみたら倒産していたんですよね。
しかもかなり前ですね。
2008年の1月ですから。
もう15年も前になるんですね。
経営破綻のようでしたが。
いろいろ詐欺?だとか言われたりトラブルもあったようですね。
共同出版された方が全国800店の書店に本を置いてくれると言われていたのに、実際はたったの3店舗だったとか。
新風舎の本って書店で見かけたことあるかなぁ?って。
コンテストに応募すると、新風舎から出版されている本が買えるよってリストを送ってくれるんですけど。
書店にはないから、そこから買ってみたんですよね。
気になる本があったので。
届いたのを見てびっくり。
あまりに薄くてペラッペラで。
え、これ本なの?
って。
書店で見たことないやつだった。
文庫本でももっとちゃんとしてますよ。
でもその作家さんは内容が良かったから、合わせて3冊くらいは買ったんですけど。
倒産していたと知って、その作家さんもどうなったんだろう?と心配になります。
出版物全部が絶版。
文芸社との再契約もできる?的な情報もありましたが。
大賞とれなきゃ出版する気なかったですけど、改めて出版しなくてよかった〜…と思いましたね。
当時は愛子さまが新風舎から出版されている絵本を読んでいたり、当時メディアに出ていた猪狩春夫さんも新風舎から出版していたりしたので。
大丈夫だと信頼して出版した方もたくさんいるんだろうなと。
きっとコンテストに応募した人にたくさん営業かけていたんでしょうね。
創業者は15歳で起業されたので、そこが凄い!って思ってたんですけどね。
そっかあ、新風舎もうないんですね。
今は素人でも出版社なんて頼らなくとも、自分でKindle本とか出版できる時代ですからね。
何十万、何百万もかけなくても本が出版できるのですから。
そんな時代の流れもあるし。
共同出版とか自費出版を扱ってる出版社が生き残るのはかなり難しいと思いました。
でもコンテストの入選作品を読むの好きだったなぁ。
特に短歌。
センスが抜群に良くて、これは入選するわ!って納得の出来だった。
入選された方たちの才能がどこかでうまく使われているといいな。