感想を書く上でネタバレが入ることがあります。
キャストの感想
まずイノを演じたコン・ユさんですが。
コン・ユさんなくしてはこの映画は作られていなかったかもしれないということなんですね。
というのもこの作品は実在の事件をもとにした原作を読んだコン・ユさんの熱意があって映画化が決定したと言われています。
映画はなんとも言えないやるせなさで終わりますが、凄いのはここからで。
映画化されたことをきっかけにこの事件が沢山の人の目にとまり韓国国内から多くの声が上がったんですね。
その結果、事件のあった聾学校は廃校になり、障害者女性への虐待に対する罰則の厳罰化、障害者及び13歳未満への虐待に対する公訴時効の撤廃を定めた「トガニ法」が制定されたそうで。
劇中では残念なことに加害者らは不起訴で終わりましたが、映画公開後の反響により再捜査が行われ逮捕、起訴されています。
そして加害者のうちの一人は2013年に懲役8年、電子足輪装着10年、個人情報公開10年の刑が確定してるんですね。
本来なら劇中でそうなってほしかったですが、そうならなかった。
でも映画化をきっかけにこれだけ変われたのは、心を動かされたコン・ユさんの熱意からはじまったということが素晴らしいことだと思います。
イノははじめは動揺しつつも淡々としているようにも見え、母から言われた言葉にも揺れ動いてるようにも見えたり、、まあ娘もいますからね。
でも娘がいるからこそ娘に胸を張れる父親でいたい的な感じになって、そこからブレずにいったところの変化が上手く演じられていて素晴らしかったと思います。
ユジンを演じたチョン・ユミさんも、とてもよかった。
はじめはユジンが車ぶつけておいて言いがかりつけてくるし、何この人?って思うんですがこういう強気なキャラだからこそその後の展開に説得力があり、終始一貫して曲げないところがよかったです。
真っ直ぐでどんな相手にも立ち向かっていく姿の演技が素晴らしかったですね。
生徒役の3人もね、泣けてくるほど演技が上手くて。
ヨンドゥ役のキム・ヒョンスさん。
ユリ役のチョン・インソさん。
ミンス役のペク・スンファンさん。
みんな本当に上手かった。
内容が内容だけにトラウマにならないか心配、、
なんですが、みんなそのあとも活躍されていて泣けてくる、、
あんな小さいのにプロなんだなぁと、、。
校長兄弟はなんとチャン・グァンさんが一人二役だったんですね。
そりゃそっくりなわけだわ、、。
ストーリーの感想
これ、もしかしてイノが赴任して来なかったらずっと事件は続いていて闇に葬られたままだったかもしれないと考えると、イノが赴任して来てくれて本当によかったとしか、、。
イノ救世主すぎる、、。
これは責任重大だわ。。
赴任されたのがイノで本当よかったよ、、。
他の人だったらどうだったか、、。
描き方もちょっと視聴者に問いかけてる感じもしたんですよね。。
イノがあなただったらどうだったか、、って。
自分一人だったら凄く不安になりそうですが、ユジンと偶然知り合っていたのもこれはまたいい運命だったとしか思えないんですよね。
少なくともこの事件においては。
ユジンが勢力的に動いてくれていたので余計に。
本当に頼もしかった。
ミンスの結末は本当に悲しいですし、なんのために生まれてきたのだろうか、、と思ってしまうほどで、、だからこそイソがミンスの遺影を持ってミンスの名前を呼びかけているシーンはイソの気持ちが痛いほど伝わってきます。
個人的にはミンスのオモニも許せないのだけれども。
確か、家を出て行ったと言っていたような。
子どもたちを守れるのはあなたしかいなかったのに。
これ、オモニいたらまた状況変わっていたのかもしれないと思うと更にやるせない。
オモニにまで置いてかれて、つらすぎる。。
こういった作品は、日本では作れないだろうな、、。
1998年のドラマ『聖者の行進』でさえ、視聴者からの苦情が殺到したりスポンサーが降りたりしたくらいだもんね、、。
『聖者の行進』だって実在の事件をもとに描いていたのにね。
残酷な事件が起こってるのは事実なのに、見たくないものに蓋をするのはどうなのだろうか。
その点、『トガニ 幼き瞳の告発』は製作者に対してではなくて事件の加害者や関係者に対しての非難の声が韓国国内から上がって厳罰化に繋がったのが本当によかったと思う。
一つの映画が突き動かしたというのが凄いことで。
それにしても相手の気持ちを考えられないとか、自分さえよければいいとか、自分の身さえ守れれば苦しんでる子がいてもどうでもいいとかそう思う人が集まることの怖さを強く感じたなぁ、、。
苦しんでる子が自分だったらってなぜ考えられない?
苦しんでる子がいるのにほうっておける神経が無理、、。
世の中がイノやユジンのような人ばかりになることを願いたいですね。