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映画『ある男』(2022)感想

 

アマプラにて、映画『ある男』を視聴しました。

 

movies.shochiku.co.jp

 

 

感想を書く上で、ネタバレが入ることがありますのでご注意ください。

 

 

映画『ある男』感想

 

映画『市子』と似てるというレビューを目にしましたが、『市子』は無戸籍なのに対し、『ある男』は戸籍はあるのだけどもその戸籍に苦しめられて手放すというストーリーなので全く別物かなと個人的には思いました。

 

 

www.npd-ruru-rarara.com

 

 

妻夫木聡さん、窪田正孝さんの演技が大変素晴らしく、内容も深みのあるストーリーでとても引き込まれました。

 

 

殺人犯の血縁というだけでもがき苦しまなければならない社会だというのは、東野圭吾さんの『手紙』にてさんざん思い知らされましたが、原誠(窪田正孝さん)ももがき苦しんだ人の1人。

 

見た目も実父そっくりで自分を殴らないと(そのためのボクシング)生きていかれない恐怖は、当人しかわからない苦しみであったでしょう。

 

全てに絶望し人生を終わりにしようとしたけど、死にきれなかった。

 

そこではじめて生まれ変わって生きていくことを決断したのだと思います。

 

やっと掴んだ幸せだったのに、あっけなく生を閉じてしまったのは無念でなりません。

 

また遺されたものの戸惑い。

 

せめて最期は幸せだった事実があったのは、救いでした。

 

 

本物の谷口大祐(仲野太賀さん)も、傍から見たら旅館の息子なんて恵まれているって思ってしまいますが、そこは当人しかわからない苦しみがあります。

 

お兄さんである谷口恭一(眞島秀和さん)があんなに嫌みったらしい性格では、大祐も生きた心地がしなかったのではないかと察せられます。

 

捜し出してくれる美涼(清野菜名さん)がいたことは幸運なことだったでしょう。

 

美涼はそれでも一緒にいてくれるはずですから。

 

2人の再会のシーンとてもよかったですね。

 

美涼の言った「バッカじゃない」に愛情が詰まっていて。

 

 

悠人(坂元愛登さん)もあの年齢にして理解できるって相当なものですね。

 

とても優しいお子さんです。

 

(小野井奈々さん)の方が受け止めるのは重いかもしれませんね。

 

血の繋がりがありますから。

 

 

個人的にボクシングジムの柳沢(カトウシンスケさん)が、誠の理解ある兄貴分みたいに見えてそこも救いだったのではないかなと思います。

 

悪い人ばかりではなかった。

 

 

ラストもめちゃめちゃ意味深で、一瞬「え…?」と頭が混乱してしまいましたが、城戸(妻夫木聡さん)も自分の戸籍を少なからず嫌悪していて、違う身分だと嘘をついてみたという話ですよね。

 

現実逃避をしてみただけと。

 

奥さん(真木よう子さん)が新しい家を建てるのを父に断ったのって不倫相手と一緒になるため…?

 

そしたら城戸可哀想すぎます。

 

そりゃ現実逃避したくもなりますよ。

 

あんな可愛い息子颯太(岩川晴さん)がいるのに。

 

 

小見浦憲男(柄本明さん)も凄い人でした。

 

ふざけているかのように見えて核心ついてくる人で。

 

 

それにしても誠の実父が瓜二つなだけではなく、絵風も似てるなんて…絶句。

 

母似だったならあそこまで苦しまなかったのでしょうか。

 

誠は何も悪いことしてなく、懸命に生きてるのに。

 

犯罪加害者家族が置かれている状況ってもっと何とかならないのでしょうか。

 

心理的な負担もそうですし、現実はどこまでもマスコミが追いかけてきたり、ネットに書かれたり世間に追い詰められます。

 

親ならまだ育てた責任とかあるのかもしれないですけど、誠は息子なんですよね。

 

何も悪くないじゃないですか。

 

普通に何不自由なく生きている人の正義感が彼らを苦しめているのではないかなと思うと、とてもやるせないです。

 

もしも相手が自分だったらと置き換えて考えられる人が増えてほしいと願ってやみません。

 

 

原作