古谷実さんの同名タイトル漫画『シガテラ』が原作の実写化ドラマです。
いかにも漫画が原作と思わせるノリみたいな色が強いですが、テンポも良く楽しく観ることができています。
何といっても萩野演じる醍醐虎汰朗さんの表情の演技が絶妙なんです。
よくある心の声だけじゃなく、それに表情のリアクションまで加えられている非常に難しい役どころです。
一歩間違えたら滑ってしまうシーンばかりなのですが、醍醐さんは第1話冒頭からものにしていて素晴らしいです。
いじめられる役どころですが、コミカルなこの演技のお陰か視聴側もそれほど重くなりません。
もう一人いじめられる役に高井(丈太郎さん)がいますが。
同じいじめられる2人でも非常に対照的に描かれています。
萩野は学校以外にもバイト、バイク免許を取得するために通っている教習所、そこで出会った彼女南雲さん(関水渚さん)。
といくつものコミュニティを持っています。
学校から帰っても深夜にいじめっ子谷脇(長谷川慎さん)に呼び出されたりなんかはあるんですが。
それ以外は他のコミュニティがあるためか、それほどいじめを引きずっている描写はあまり見られません。
対して高井は他のコミュニティを持っている描写がなく、家に帰っても谷脇への憎しみ、復讐心など頭の中が谷脇のことでいっぱいになって今にも何かを起こしそうな危うさがあります。
そして萩野と南雲さんとばったり会うと、それきり登校もしなくなってしまったと。
あれだけいじめられてもめげずに登校していたのに。
そこは同士だと思っていた萩野に裏切られたと感じたのかも。
酷いいじめを受けても耐えられたのは萩野がいたお陰と、復讐心に燃えていたからで。
ところが萩野は自分みたいにいじめにとらわれることなく、恋愛にうつつを抜かしていたと知ってしまった。
自分は谷脇にどう復讐しようかとそればかり必死に考えてるのに。
高井の心境を思うとこんなところでしょうか。
今後、高井が何かを起こす可能性は高いと見られますが。
コミュニティを多く持つことがいじめを切り抜けるために必要なことだとこのドラマは伝えたいのでしょうか。
そんな気がします。
いじめという重いテーマを取り入れたからには、ちゃんと意味があってほしいですね。
それにしてもいつも思うのは、何でいじめられた側が学校に行けなくなったりしなくてはならないのか。
今回のケースは特にいじめ側は谷脇一人なんですよね。
谷脇を停学なり退学なりさせれば萩野も高井も安全に学校生活を送れるのに。
このあたりは本当に憤りを感じます。
高井が何か起こしたりしても誰も責められないんじゃないでしょうか。
高校に行ってもいじめがあるなんてつらいですよね。
しかも彼らたちはまだ2年生とのこと。
3年だったらあと少しの辛抱と思えますけどね。
2年じゃまだまだ先は長いです。
萩野は何か変われそうな気がしてますけどね。
南雲さんとうまくいって自信がついたら色々良い方向に動く気がしてます。
高井も外の世界に目を向けられたらね、と思うけど。
悲しいかな、いじめが高井を支配してそれ以外は何も目に入らなくなる。
それに他にコミュニティを持てと言われたって、いじめで自信喪失していたら新しい環境に一歩踏み出すことの勇気がどれくらい必要か考えると臆するのも無理ないことなんですね。
頑張って一歩踏み出してうまくいき成功体験を味わえたらトントン拍子かもしれないけど、またうまくいかなかったりしたらと思うと悪循環にもなりかねません。
萩野は、南雲さんに田島(三浦理奈さん)がついていたのも幸いしたのかも。
たぶん田島のグイグイ押す感がなかったらこんなうまくいかなかったかもしれませんね。
田島は可愛いのに男気あって惚れちゃいます。
あとは谷脇がどうにか改心して大人しくなってくれることを願いたいですね。
エンディングの萩野と南雲さんが凄く可愛くてほっこりさせられるし、今後はほっこりシーンを沢山観たいので。
そこに期待したいです。