映画『余命10年』(2022)感想記事です。
感想を書く上でネタバレが入る事があります。
キャストの感想
まず、茉莉役の小松菜奈さん。
茉莉と書いてまつりなんですね。
小松菜奈さんいいですよね。
『溺れるナイフ』や『糸』を観て好きになった女優さんです。
『糸』もウルッときましたが、『余命10年』はウルッどころではない号泣ものでした。
それだけ小松菜奈さんの演技が素晴らしく、終始泣かされっぱなしになります。
はじめは達観しているようにも見える茉莉なのですが、生きたい気持ちが溢れてるのが見えた時の対比も上手く演じられていてとにかく涙を誘います。
視線や横顔などどれをとっても美しく、儚い役柄と相まってどんどん引き込まれていきます。
次に和人役を演じた坂口健太郎さん。
坂口健太郎さんは『シグナル 長期未解決事件捜査班』の緊迫感溢れる演技がいいなと思っていたので三枝役みたいなのが好きなのですが、和人は全く真逆の役ですね。
和人は弱々しく頼りない感じでイケメンなのに格好悪いくらいで、イケメンの気配を見事に消してるのが凄いなと思いました。
観る前は王道の「俺についてこい」的な役か活気溢れる爽やか青年な役かな?なんて思ってたので、意外性があり逆に新鮮で良かったと思います。
ストーリーの感想
まずタイトルからして結末が想像出来るので、わりと序盤から涙が止まらない映画でした。
はじめの頃にご両親役で松重豊さんと原日出子さんが出てくるので、彼らが号泣する結末もチラチラ見えてしまい全然泣けるシーンではないところでも涙が溢れ出てしまいます。
そしてお姉さん役が黒木華さんですからね。
もう泣かない選択は出来ない映画だと覚悟を決められます。
現にお姉さんの挙式シーンでさえ泣けてしまってました。
これじゃあラストまで持たないぞと思わされるくらいボロ泣きの連続だったので、終盤の頃にはもう、やめて、、と懇願したいくらいでした。
ひとときも息をつかせてもらえない映画に恐ろしさを感じました。
そして桜のシーンや海のシーン、雪のシーンなど四季がとても美しいのです。
そのため美しく儚い映画になってました。
気になったのは実話なのかな?ということなのですが。
同名タイトルの原作小説があるようですね。
茉莉が経験したことなどはフィクションのようですし原作の茉莉は漫画好きな方と異なる内容のようですが、原作は茉莉と同じご病気の方が書かれているのでそこが実話のように感じさせられるのかなと思います。
自分と同じ病気の主人公の最期を書かなくてはいけなかったのは、かなりしんどいものもあったのではないかと思うのですが。
この映画を観たからにはきっと原作小説も読まずにはいられないと思います。
それくらい茉莉に感情移入しましたし、原作者が描いた漫画好きな茉莉はどんなだったのだろう?と興味があります。
あわせて原作者である小坂流加さん逝去後に刊行された『生きてさえいれば』も是非読んでみたいです。